メルマガのバックナンバー

【事例】クララが立った。

この記事は、ぼくのメルマガのバックナンバーです。メルマガでは、「最新の天才研究についてや、ぼくがプロデュースを手がけるアート型ビジネスの最新事例など」について書いています。他にはない独特な長文芸にある種の中毒性があるとかないとか、噂されるそんな不普通のとはちょっと違った『変なメルマガ』です。メルマガはこちらから無料で登録できます。

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【以下転記】2023/3/2のバックナンバー
※全4シリーズのVol.2です。

<全4シリーズ>
【事例】人生で一度も「楽しい」と感じたことがない男の物語
Vol.1「【事例】人生で一度も「楽しい」と感じたことがない男の物語」
Vol.2「クララが立った」←本記事
Vol.3「なぜ、人生で初めて「楽しい」という感情が湧いてきたのか?」
Vol.4「【解説】人の個性を解放するためにぼくがやっているたったひとつこと」

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こんにちは、やまけんです。

今日は前回の続き。

前回のメルマガを読んでない人は流れがわからないと思うので(そして前回のメルマガは短くてサラッと読めると思うので)こちらからどぞ!

Vol.1「【事例】人生で一度も「楽しい」と感じたことがない男の物語」

では、続きをどうぞ。



ぼくは、プロデューサーという仕事をしている。

プロデューサーといっても、TVのプロデューサーでも、音楽プロデューサーでもなく、商品のプロデュースをするわけでもない。ぼくがやっているのは人のプロデュースだ。関わった人が、自分で気づいていない魅力を見つけたり、本人が幸せで満たされた生活を毎日送れるようなライフスタイルをデザインしたり、「自分にしかできないことをビジネスにする」ための設計や編集というのをやっている。人生のことから、ビジネスのことまで、その人の幸せに関係することは丸っとなんでもやる。

仕事の範囲は、曖昧で広い。イメージでいうと、なんでもやる総合医のようなものかもしれない。やってきた患者さんには風邪やインフルエンザなどの内科的対応をし、耳が痛い人には耳鼻科的処置をし、肌がかゆい人には皮膚科的対応をする。必要とあらば、難しい外科的オペもこなす。西洋医学的なアプローチだけじゃなく、東洋医学的なアプローチもするので、代替医療の提案や漢方の処方までする。そんなイメージだ。これだけ幅広い領域を扱っていることを初対面の人に伝えても伝わるわけもないので、「何をされてるんですか?」と初対面で聞かれたら一律に「天才の研究をやってます」と答えることにしている。

ぼくはプロデューサーとして半年に一度、新しく関わる人の募集をする。『天プロ』というプログラムを通して。2022年の1月も新しく31人のメンバーを新たに迎え入れた。扱っていることが広いだけに、集まってくる人の年齢も職種も悩みも、これまで経験したことやそれによって身につけている価値観もバラバラだ。それぞれ全然別のことに課題を感じてやってくるから解決策もバラバラで、都度ひとりひとりに合わせてオーダーメイド的に処方箋を考えないといけないので難しい。だからこの仕事をやっているし、これからも当面飽きずにやっていく予定である。解決策がわかってしまったらすぐに飽きてしまう。奥が深くて難しく、複雑だから楽しい。どうしたらいいものかと頭を悩ませるからおもしろい。そう思って、人のプロデュースという仕事をやっている。

去年の1月の募集で、難しい患者(医者の比喩を継続するなら)がやってきた。名前は北山という男だ。天プロに入ってからは、ペーさんというニックネームで呼ばれることになった(名前の由来は、麻雀で東という牌はトン、南という牌はトン、西という牌はシャー、北という牌はペーと呼ばれるが、北山は苗字に「北」という文字が入っているから昔から「ペー」さんというニックネームで呼ばれることがあったらしい)。

天プロに入るためには「事前審査」というのを受ける必要があるが、ペーさんとはメッセンジャーでのやり取りだけだったので、実際に顔を合わせたのは天プロに入ってからのzoomでが初めてだった。

ぼくのペーさんの第一印象は、「好きなタイプの人だな」という感じだった。メッセでやり取りしたときの印象と、当時のFacebookのアイコンからして、ちょっと固くてそんなに明るくない人なのかと予想していた。でも、実際にzoom上で何人かで飲みながら話をしてみると、ペーさんは自分がしゃべるときによく笑う。ぼくと比べると、ぺーさんの方がしゃべるときの表情が豊かであることは間違いない(ぼくが酔ったときを除き)。普段からよく笑うから表情筋が発達してるんだろう。年はぼくよりいくつか上だろうけど、人懐っこい笑い方をするので、昔から知ってる年が近い親戚のおじちゃんみたいな感じがした。だから、好意的な印象を持ったんだと思う。

じゃあ、なぜペーさんが”難しい患者”だったのか。それは、彼が見せている人懐っこい笑顔と、「彼の中で起こっていること」に大きなギャップがあることがわかったからだ。

ペーさんは、エントリーシートに「独立して10年、「自分がやりたい」と思ったことを仕事にしてきましたが、1度も「楽しい」「やっててよかった」と思ったことがありませんでした。」と書いていたので、zoom飲みが終わるころに聞いてみた。

やま:「ぺーさん、独立してから仕事では楽しいって一度も感じたことがないって書いてたけど、プライベートだとあるんでしょ?」

ペー:(右上をみて数秒考えてからちょっとはにかんで)「…いや、ないですねぇ…」

やま:「え、そんなことある!?じゃあ人生を通してこれまで1回も”楽しい”って感じた記憶はないってこと?」

ぺー:「うーーん、まあ、そうですねぇ」

やま:「じゃあ、今は?これだけ笑ってるってことは、今の時間は楽しかったってことでしょ?」

ぺー:「いや、”楽しい”って感じではないんですよねぇ。自分としては、ずっと緊張してる感じなんで(笑)。なんかこういう風に何人かで話したりしてると、みんなが楽しい時間だったなって思えるような時間にしないといけないと思っちゃうんですよね。だから、そう思ってもらえるように頑張ってるみたいな感じですかね。だからこのzoomも終わったら、あーなんとか問題なく終わることができて良かったってひと安心する感じです」

やま:「なるほどー!(そうういう感じなのか!むずい!)」

ここから、ぼくの研究は始まった。「どうやったらペーさんが楽しいって感じられるようになるのか?」「そもそもペーさんはどんなことに対して楽しいと感じる可能性があるのか?」「もっと言うと、これまで一度も楽しいと感じてきてない理由は何なのか?」いくつも疑問は出てくる。

だから、翌日からぼくは、ペーという新種の生き物への観察に精を出した。これまでも、仕事のやる気が全然出なくなってしまったとか、自分に自信がないとか、自分が熱狂できる何かを見つけたいけど全然検討が使いないとか、いろんな悩みに向き合って来た。でも人生で一度も「楽しい」と感じたことがないっていうケースは初めてだった。うん、おもしろい。きっと何か突破口はあるはずだ。研究者としてのスイッチがポチッとな、された。

天プロ内には、自由になんでも書き込んでいい「No rule チャット」と言われるメッセンジャーチャットがある。そこにときどきペーさんが何か書き込むと、(イメージ上の)ピンを刺してぼくの脳内にその情報を放り込む。まだ解釈や分析はしない。とにかくまず必要なのは、大量のデータだ。ペーさんに関しての情報をゆるくランダムに脳内にいっぱい放り込む。ビックデータの活用と同じ論理で、ぼくは自分の脳みそを使っている。データがある程度溜まってきたら、AI(つまりぼくの脳みそ)に適切な質問を投げかければ、必要な答え(ひらめき)が返ってくる、っていうのがぼくの考えだ。だから、ぺーさんが自分のひとり言をつぶやいているtwitterもチェックし、zoomやリアルで会って話す機会があったらぺーさんがどんなことをやってるときにはどんな表情や言動をするのかをさりげなく観察し、気になることがあったら直接メッセンジャーで質問を投げた。こんな風に。

こんな風にひたすら観察して情報収集。気になったことがあったら質問して、ぺーさんの認識を確認ということを繰り返していった。まず「楽しい」どうこうの前に、ペーさんは身近な人との人間関係や収入やライフスタイル的に「客観的に見ると幸せ」だという認識はあるけど、ぺーさん自身は主観的に「幸せだという感情を感じていない」ことがわかった。

さらにやり取りをしていると、ペーさんには、あらゆる人に対して「借り(恩)を返さないといけない」という強い思い込みがあることがわかってきた。実際に話を聞いてみると、例えばお金を人に借りて、それを返さないといけないみたいな当たり前の話ではない。ちょっとでも人に何か親切にしてもらったら、「借りを作ってしまった」という認識が生まれているっぽい。

人には、いろんな思い込みや設定、メンタルブロックと言われるものがある。ぼくだってそうだ。そういうのが見つかったときにぼくの方針は、本人にどうしたいか?を確認するようにしている。「●●さんからブロックを取った方がいいって言われたから」みたいな構造になると、いつまでたっても本人が主体的に自分で考え、自分の気持ちを確認し、自分の意思で選択するという風になっていかないからだ。影響力が強い人に流される人に、アート型ビジネスは作れない。まずは自分の中に強い軸を作ることが必要だ。だからペーさんにも、「借り(恩)を返さないといけない」っていう執着は、保持するのか手放したいのか?を聞いてみた。

本人からは、「自分の苦しさや狭さの根源だと感じたので、できれば手放したいです!」という返事が返ったきた。

そこで、ぼくはほしみかという天プロメンバーの『アンインストールアプリ』というセッションを受けてみることを勧めることにした。

ほしみかの『アンインストールアプリ』というサービスについては、1/28と2/10にやったぼくのプレゼン内で紹介したが、ぼくから見ても「すごい!これは自分には真似できない」と思える、まさにほしみかにしかできないアート型のサービスだ。人には望んでない現実をつくってしまう「アンインストールした方がいい脳内アプリ」というものあって、その人がアンインストールした方がいいアプリを特定するというコンセプトのサービスだ。

ほしみかは、ぼくからすると脳外科の専門医みたいな存在だ。ぼくはなんでもやる総合医としてその人の人生からビジネスまで全部見るけど、今はここにテコ入れすると全体として効果が大きいっていう課題が特定されたときに、それについてぼくより専門性が高い人がまわりにいたら、その人に推薦状を書いて紹介する。そういった、特定の分野でぼくよりも優れた専門性をもつメンバーが天プロにはいっぱいいるが(多様な職種のメンバーが集まる分)、その中でももっとも多くのメンバーを診てもらってるのがほしみかだ。なんたってセッションを数回受けてもらうだけで相当その人の認識と現実がガラっと大きく変わるからだ。ぼくからみるとほしみかは、脳外科的な分野におけるオペの正確性と速さがとにかくすごい。

だから、ぺーさんにもほしみかのセッションを受けてみてもらったら、

という感想が返ってきた。ほしみかによって特定された、ペーさんがアンインストールした方がいい脳内アプリは「役立たずになりたくないから、借りを返し続けないといけない」というものだった。

なるほど。たしかに、このアプリが入ってたら、どれだけ稼いで自由な時間があって人間関係がよくても、自分の頭の中が「早く借りを返さないといけない」っていうプレッシャーで埋め尽くされ、「新たな借りを作らないようにしないと」ってことにいつも意識を持っていかれてしまうはずだ。それだと確かに、楽しめる余裕がないし、幸せを感じられる心の余白もないというのもうなづける。ちょっと大袈裟に例えてみたら、闇金に借金してて返済が1日遅れてるような状態。まだ取り立ては来てないけど、いつ家の玄関をドンドンドンと叩く怖い人たちがやってくるかもしれないし、そういう人と街でバッタリ遭遇してしまう可能性のことを考えたら、安心して外をぶらぶら散歩することもできない。そんな感じで、ぺーさんの脳内ではこれまで、本来は目の前に現実としてはあるはずの「安心と安全」がないことになっていたということだ。

天プロがスタートして1ヶ月半ぐらい経ってやっと一つ目の謎である

  • ペーさんは、なぜこれまで人生で一度も「楽しい」と感じたことがなかったのか?

という問いの答えが見つかった。

ただ、もう数十年もそういう認識で生きてきたのだ。今の現状を作り出してるひとつの大きな原因がわかったからといって、人生で一度も楽しいと感じたことがない人が、「うわあーーー、楽しい!!」ってなるわけもない。だから、ぼくはペーさんに「3年以内ぐらいとかに”楽しい”って感じられるようになるといいですね」って言っていたし、ぺーさんも「ぼくもそんなにすぐに楽しいって思えるようになるとは思ってないです。それぐらいかかるんじゃないかなーと思ってます」と言っていた。

なのに・・・

事件は起こった。

ほしみかのセッションを受けた2週間後ぐらいの3月末。山梨県の自然に囲まれた清泉寮という宿で3泊4日の「アート合宿」が開催されたのだが、そこにぺーさんも参加していた。そしたら、2日目のプログラムが終わって夕食を食べる前にぺーさんがやってきて、

ぺー:「やまけんさん。さっきあるワークをやってるときに”楽しい”って感じました!

やま:「えっ…….?」(心の中では、ぬああんだってえええええええーーーーーー!!!!!????)

あまりに突然だったので、ペーさんから報告を受けたその瞬間はまったくもって意味がわからなかった。だって合宿の初日である前日の晩に、10人ぐらいで飲みながら「ぺーさんはどうやったら楽しいって感じれるようになるかねー」って話をあーでもないこーでもないってひたすらしてて、「まあ、死ぬまでには楽しいって思える瞬間がくるといいね」っていう感じで終わってたのだ。それがまさかの翌日に、奇跡が起こったのだ。

そこから2日経った、アート合宿の最終日。最後に30人ぐらいの参加者が輪になって、それぞれが「どんな4日間の体験だったのか?」をシェアする時間があったけど、ぼくはいつぶりか思い出せないぐらい泣いた。みんなにはバレないように。

それぐらいぼくにとっても、ぺーさんにとっても衝撃的な4日間だった。なんつったって、クララが立ったのだ(ぺーさんが人生で初めて「楽しい」って言ったのだ)。

  • ・ペーさんに何が起こったのか?
  • ・ぺーさんが人生で初めて「楽しい」と感じられるようになるためには、何が必要だったのか?

続きはまた明日以降。


続きはこちらよりどうぞ↓

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