アート型ビジネスって具体的にはどんな形のことを言うの?この問いへの答えとしての事例をシェアすることを目的に開催しているのが、『こんなことが、こんな形で仕事になるの?』(以下こんシゴ)という企画です。ぼくから見て勝手に、アート型ビジネス的だと思う活動をしている人をゲストに呼んで、「自分が本当にやりたいことをどうやって見つけたのか?」「それがどんなプロセスで仕事になっていたのか?」などを根掘り葉掘り聞いていきます。
その中でも今回の『こんシゴBAR』は、「こんシゴ」のスピンオフ的企画です。ぼくが話を聞きたいゲストをairでお招きして(つまりゲストで呼んだ“てい”で)、仮想対談をするという謎企画であります!
アート型ビジネス実践の鍵はとにかく「多くの事例」に触れること
アート型ビジネスとは、自分が本当にやりたいこと、自分にしかできないユニークなことを仕事にすることです。これは、お客のニーズありきで組み立てる一般的なマーケティング的ビジネスとは真逆のアプローチです。とにもかくにも、「自分のこれをやりたい!」って気持ちがいちばんに大事にされる。楽しい気持ちからスタートし、最終的には自分にしかできない形、独自性が高いサービスに昇華させていきます。そこまで到達するには時間がかかりますが、人とは違って自分にしかできないことをやれている実感が日々あることは、ぼくたちを嬉しい気持ちにさせ、とても強い愛着が持てるビジネスになっていきます。
ただ、1つ大きな問題があります。アート型ビジネスをやるにあたって、ほとんどの人が事例に触れたことがなさ過ぎる点です。事例に触れていないと、アート型ビジネスの考え方にはすごい共感したけど、具体的に何をどう進めていけばいいのかイメージできないとなってしまいます。
そこでそんな問題を解消するために作ったのが、この企画です。自分が本当にやりたいことを、自分にしかできない形で、仕事にし(ようとし)ている人をゲストに呼んで、ぼくがインタビューしながら何がポイントなのかを解説していく。1回だけじゃなくいろんな分野、いろんなタイプの人の事例に触れることで、ちょっとずつアート型ビジネスを実践していくときのイメージがついていきます。この事例のインプットの積み重ねが、見通しを与え、自分のことに落とし込むときにアイデアをひらめきやすくしてくれます。
今回の“airゲスト”は?
パタゴニアの創業者である、イヴォン・シュイナードさんです。
みなさんは、パタゴニアという会社の“経営”について何かイメージをお持ちでしょうか?ぼくも去年イヴォンさんの本を読むまでは詳しくは知らなかったですが、ぼくの周りで尊敬する起業家の何人かが「パタゴニアの経営スタイルが大好きで影響を受けた」的なことを言っているのを聞いたことがあり、何が他と違うんだろうとなんとなく思っていました。
去年、アート型ビジネス的な経営スタイルを実行していて、かつ事業を大きな規模で展開している企業ってどこなんんだろうとふと思い、もしかしたらパタゴニアってそういう感じかもしれないと思って調べてみたら、まさにドンピシャ!売上の拡大よりも、自分たちが本当やりたいこと、本当に大事にしたいことを優先しながら経営をしている企業でした。『社員をサーフィンに行かせよう』っていう、イヴォンさん自身が書いた本を読んだことでパタゴニアの経営の全貌をすることになるんですけど、それがまあおもしろい!他の企業とは全然違うユニークさがありながらも、それらは決して奇をてらったものではなく、本質的な考え方から生まれたものなんですね。
普通のやり方でビジネスをしたら幸せになれない
創業者のイヴォンさんは、起業家に対しては相当なマイナスイメージを持っていたので、起業家にだけはなりたいくないと思っていたんですね。彼がどんな発言をしているのかを引用しますね。
私は、自分を事業家だと考えないようにしていた。自分はあくまでもクライマーであり、サーファーであり、カヤッカーであり、スキーヤーであり、鍛冶職人であると思っていた。しているのは自分や友だちが欲しいと思う優れた道具や機能的なウェアを楽しんで作ること。夫婦の持ち物らしい持ち物といえば、フォードのおんぼろのバンに、借金のかたにいつ取られてもおかしくない海辺の小屋ぐらいなものだ。それなのに、いつもまにか、会社は山のような借入金を抱えてしまったし、たくさんの社員とその家族の生活も支えなければならなくなっていた。すべてが我々の肩にのしかっかってきたのだ。
義務と責務についてよくよく考えてみた結果、私は、悟らざるをえなかった。自分は事業家であり、今後も事業家として生きていくことになるだろうと。この世界で生きていくためには、真剣に取り組む必要があるとも。だが同時に、普通のやり方で事業をしたら幸せになれないこともわかっていた。青白いを顔をしたスーツ姿の屍を機内誌広告で見ては、ああはなりたくないと思っていたのだ。事業家にならざるをえないのなら、自分なりのやり方が必要だ。
(中略)
なりたくもなかった稼業につくのだから、なにか、なるべき理由が必要だろう。真剣に取り組むようになっても変えたくないことがひとつあった。毎日、楽しく仕事をする、と言う点だ。
階段を一段飛ばしで駆け上がってしまうほどわくわくしながら出社できるようでなければならないし、思い思いの服を着た仲間に囲まれて仕事をしたい。はだしのやつがいてもいい。仕事時間は柔軟でなければならない。いい波が来たらサーフィンに行きたいし、パウダースノーが降ればスキーに行きたいし、子どもが体調を崩したら家で看病してあげたいからだ。仕事と遊びと家族の境目はあいまいにしておきたい。
ビジネスの常識を覆して自分なりのやり方を確立するのは経営の創造的な側面であり、深い満足が得られる仕事である。
〜『社員をサーフィンに行かせよう〜パタゴニア経営のすべて〜』より引用〜
もう、この部分に、イヴォンさんの原点であり、考え方が詰まっていますよね。彼はいろんな意味で非常識な経営スタイルを形にしていきますが、それは「どうやったら人が、遊ぶのと同じように楽しく幸せに働けるだろう?」という極めて常識的な問いから来ているんですね。
普通の人は起業家も、どうやったら楽しく幸せに働けるだろうとは考えます。ただ、創業者自身が実現するライフスタイルを、社員たちも同じように味わうことができるようにしようとは考えないんですね。大きなリスクを追った創業者は創業者、社員は社員という考え方です。この考え方にメスを入れられたのは、イヴォンさんが一般的な起業家、ビジネスパーソンにはなりたいくないと思っていたからでしょう。クライミングやサーフィンという趣味を追求する彼の自由を重んじる人間性が、パタゴニアの経営スタイルを作っていきます。そんなイヴォンさんは、2022年9月に自身が家族で保有していたパタゴニアの株式の全部(約4300億円相当)を環境保護団体に寄付をしたというニュースもありました。自分の資産の10%を寄付するって人はいますが、持っている株式の全部を手放したわけですからね。彼は自分を愛するように、社員やその家族のことを愛し、自分を愛するように自分が住む地球のことを愛する。そういう人間性から生み出されたアート型ビジネスという作品について、知っておくことはぼくたちが自分独自の経営スタイルをクリエイティブに作っていくことにすごく役に立つんじゃないかと思います。
前回airゲストで来ていただいた、ミナペルホネンの皆川さんと合わせてみると、「経営者の人間性」が、どのように経営スタイルに独自性を与え、本質的な成長をもたらすのかということがよくわかると思います。なので、今回のこんシゴBAR(VR)でも、アート型ビジネスが形になっていくまでのプロセスだけでなく、マズローの『人間性の心理学』という観点から見たときのイヴォン・シュイナードという人の人間性、またその人間性がどう有機的に企業経営に影響を与えていったのかについて解説します。また、イヴォンさん自身がどういう流れ、自分の使命を認識して言語化するに至ったのかについても解説します。
今回のイベントでは、以下のようなことを知ることができます。
・本当にやりたいことを見つける上では何が大事なのか?
・自分の使命はどうやって見つかるか?
・他とは違うユニークなポジションはどうやって作られるか?
・自分が作りたくて作った商品が思ったように売れないときにできることは?
・顧客から長く愛され続けるブランドづくりにおいて大事なことは?
・パタゴニアがマーケティング型ビジネスからアート型ビジネスに大きく舵をきることになったきっかけは?
・イヴォンさんの人間性は、経営にどう影響を与えているか?
『こんシゴBAR(VR)』の特徴は?
通常の『こんシゴ』は、リアルにゲストを呼んで対談をしますが、『こんシゴBAR(VR)』はゲストを“呼んだてい”で仮想対談をします。
真面目に言うと、本人をゲストに呼んだとしたら、この質問をしたらこういう答えが返ってくるだろうっていう予想を確度高くできるぐらい、ぼくがゲストについて書かれた著書や自伝、インタビュー等を読み込むことで、その人のことを徹底解説するという主旨です。あとBARの後ろについてある(VR)というのは、実際にVRを使うわけではないですが、どういう意味なのかは参加してもらったらわかります(笑)。
また、開催時間が夜の22時からということで、夕食後お酒や好きな飲み物でも飲みながら、楽しい気分で参加してもらえたらと思っています。ぼくの方はどうやら、この企画のスタッフがある人に協力を依頼して、その回の“airゲスト”にちなんだお酒を準備してくれているようです。
主催者プロフィール
山田研太(やまけん)
株式会社ホンモノ 代表取締役
凡人出身の天才について研究しているプロデューサー。過去には個人事業主の売上を3ヶ月でアップさせるホンモノ経営塾を主宰して約1000人の卒業生を輩出。ただ現在はその逆で、短期で売上をあげることよりも、自分にしかできないことを形にする”アート型ビジネス”を提唱。その考え方を独自の「論文」形式にまとめて定期的に発表している(論文vol.1『天才系(アート型)ビジネス〜移住〜』(2020年11月リリース)、論文vol.2『表現者シップ』(2021年5月リリース))。論文vol.3『オリジナリティ』(2021年12月リリース)。
アート型ビジネスを完成させたい人が集まる実践のコミュニティとして『天プロ』(自分の天才性をビジネスに落とし込み、唯一無二のポジションをつくるためのアート型ビジネスの世界にどっぷり浸かる短期留学プログラム)を主宰。天プロを通してよくある起業塾からは生まれようがない、その人にしかできないユニークなサービスが次々生まれつつある。2019年ごろからKADOKAWAから「今年、天才について書いた本を出します」といって全然出る気配がないので本を出す出す詐欺として一定の認知を得ている。
イベント詳細
■タイトル:第4回『こんシゴBAR(VR)ーこんなことが、こんな形で仕事になるの?』
〜「人間と自然の事を考え抜いた唯一無二の経営スタイル」をどうやって作ったのかを“妄想的に“イヴォン氏に聞いてみた〜
■airゲスト:パタゴニア創業者イヴォン・シュイナード氏(※ゲストは実際には登場しません)
■日時:6/1(木)22時〜24時
■参加費:1,650円
■開催方法:zoom参加(顔出しできる環境にいる人は顔出ししてもらえるとテンションあがるです!)
■アーカイブ視聴について:現状では予定していません
■参加申込こちら
https://0601konshigo.peatix.com
アート型ビジネスや天プロのことを、もっと知りたい方はこちらもご覧ください!
やまけん(山田研太)が秘密の話を書く場所です。
恥ずかしい話、最近考えていること、賛否両論出て炎上するかもでSNSでは書くのをためらうこととかです。すごいおもしろい自信があるので、ぜひ一度読んでみてください!おもんなかったら、即解除してくださいw